科学記者、ChatGPTの論文要約能力に疑問
AAASの調査で、ChatGPTは科学論文の要約において期待に応えられないことが明らかになった。
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【ワシントン】科学論文の要約におけるChatGPTの能力に疑問が投げかけられている。科学ジャーナリストにとって、複雑な研究成果を一般読者向けに分かりやすく伝えることは日常業務の核心である。一方、大規模言語モデルは複雑な文章の要約に有用とされてきたが、その実力には限界があるようだ。
米国科学振興協会(AAAS)のチームは1年間にわたり、ChatGPTが同協会の「SciPak」チームによる記事形式に沿った要約を作成できるかを検証した。SciPakの記事は、研究の前提、方法、そして背景を簡潔に整理し、他の記者が記事を書く際の基盤となることを目的としている。
しかし、調査の結果、ChatGPTの生成する要約は科学的文脈の正確さや重要な要素の簡潔な伝達において不足が目立ち、SciPakの専門記者が行うレベルには達していないと結論づけられた。専門家は「科学コミュニケーションには精度と文脈理解が不可欠であり、AIの出力は依然として人間の記者に代わるものではない」と指摘している。
この研究は、AIの活用可能性を示す一方で、その限界を浮き彫りにし、科学報道の現場における人間の役割の重要性を改めて強調する結果となった。