ホームページ :テクノロジーを簡単に楽しむ、未来を自由に見る

AIによるスタン・リー・ホログラムがLAコミコンで物議 「悪魔的」との批判も

故マーベル共同創設者スタン・リーの等身大AIホログラムがLAコミコンで有料展示され、ファンやメディアの間で強い批判と論争を呼んでいる。

最新の更新

ロサンゼルス発 — ハリウッド・リポーターの報道によると、今週末に開催されたLAコミコンで、故マーベル・コミックスの共同創設者スタン・リー(享年95)の“AIホログラム”が登場し、来場者が15〜20ドルを支払って密閉ブース内で等身大のAIアバターと会話できる展示が行われた。今回の展示は一部メディアやファンから激しい反発を招いている。

この件を伝えた技術系メディアの読者投稿や二次報道では、展示の内容と倫理的な問題点が問題視されている。アーソ・テクニカの読者による共有報告や報道の流れを受け、瞬く間にSNS上でも賛否が拡大。あるゲーム系メディアのライターはこのアイデアを「悪魔的(demonic)」と表現し、「早く止めるべきだ(kill it with fire before it's too late)」と強い言葉で批判した。

今回のホログラムは、スタン・リーが2018年に95歳で亡くなって以来、約7年ぶりに「対話できる形で再現」される試みとして注目を集めた。一方で、故人の肖像や声、人格のAIによる再現が持つ倫理的・法的側面についての議論が再燃している。

出展側は技術的デモンストレーションとしての意図を強調している可能性があるが、批判者は以下の点を問題視している。

・故人の許可や遺族の同意に関する透明性の欠如。

・商業目的での利用(有料での「会話」)が故人の尊厳や記憶にどのような影響を与えるか。

・来場者に与える心理的影響や、AIが生成する応答の信頼性と責任の所在。

支持する声も一部にある。技術的進歩を評価し、過去の文化的人物を新たな形で体験することへの肯定的な見解や、エンターテインメントの新領域としての期待を示す意見だ。だが、現時点では否定的反応のほうが目立っており、オンライン上では「倫理的な枠組みが整うまでこうした展示は控えるべきだ」という声が根強い。

今後、こうした故人のAI再現に関するルール作りや業界ガイドラインの整備が求められるだろう。遺族の同意、著作権・パブリシティ権、モラルと商用利用の線引きなど、法的・倫理的な検討課題は多い。ポップカルチャーと最先端技術が交差する場で、どのように故人の記憶を扱うかは、今後の大きな社会的論点となる。

(取材/報道:ロサンゼルス発)